産後ケアや産前産後ヘルパー

出産が終わり、育児がスタートすると、しなければならないことが出産前より確実に増えます。
第1子を出産した保護者は初めての育児の世界で奮闘し、第2子以降を出産した保護者は上の子どものお世話にも翻弄されていると思います。
育児は子どもの性格によって保護者の負担が違いますし、保護者へのサポートの環境によっても違います。思ったよりスムーズに育児ができていると感じる保護者もいれば、こんな辛いと思わなかったと感じる保護者もいます。
産後のしんどさを軽減するために、各自治体によって産後ケア産前産後ヘルパーの事業を行っています。産後ケアや産前産後ヘルパーを利用する際に、自治体の補助を利用することで保護者の負担する費用を軽減し、利用しやすくしています自治体が施設と契約をしているので、自治体が指定した施設の利用となります。
私が以前住んでた自治体では、産後ヘルパーはなく、産後ケアのみでした。

目次

産後ケアや産前産後ヘルパーってなに?

産後ケアは、産後の保護者や子どもを対象に、保護者と子どもが病院や助産院へ行き、専門職にケアをしてもらいます。育児の技術を学んだり、少し子どもを預かってもらい休息をとったりします。宿泊型もあれば、日中の何時間かの利用もあります(自治体によって、宿泊型がなかったりもします)。
産前産後ヘルパーはヘルパーの方に自宅へ来てもらい、家事などをしてもらいます
費用としては、自治体によって違いますが、産後ケアは自治体の補助を利用すると3000円~5000円ほどです。産前産後ヘルパーは自治体の補助を利用すると無料~数百円/時です。
今住んでいる市町村は産前産後ヘルパーが無料なので、少しびっくりしました。
利用できる期間(生後〇か月まで)と回数(合計〇日間など)が設けられているので、是非自治体のHPを調べてみてください。
利用するにも自治体を通さないといけないので、利用するなら早めに申請した方がいいと思います。

ちなみにですが、産後ケアも産後ヘルパーも完全に自分で支払うなら、どの施設でも、どのような理由(というよりも理由がなくても)でももちろん利用できます。自治体を通さないので、その施設に連絡して、いつから利用できるかを相談したらいいと思います。

産後ケアの利用の注意点

産後ケアを利用する方法として2つあって、完全に実費で好きな施設を利用する(その分自己負担額が高い)のと、自治体補助を利用して特定の施設を利用する、という利用の仕方があります。

どちらの利用方法にも当てはまる注意点

  • 上の子がいると、入院できないことがある(特にこのコロナの時期なら更にその可能性がある)
    →産後ケアを利用する対象が母子なので、病院や助産院によって、上の子同伴がOKな場合とそうでない場合があります。どちらかというと、ダメな場合が多い気がします。
  • 月齢が高くなっていくと受け入れれる産院が少ない
    →自治体では最近産後ケアの利用の対象月齢が「生後4か月まで」から「1歳になるまで」など利用できる期限が伸びているところもあります。ただ、それにより、例えば「ここの病院は赤ちゃんのベッドがコットンなので生後〇か月までじゃないと受け入れれない」ということがあるので、月齢が大きい場合はたとえ自分が出産した病院が産後ケアをしていたとしても、「自分が出産した病院がいい」などという希望には添えないこともあります。
  • 病院によって夜間は対応できないところもある
    →病棟のスタッフの人数は限られているので、夜泣きをしても対応できなかったり、預かるのができない施設もあります。

自治体の補助を利用してでの注意点

  • 自治体の補助に関しては誰でもが使えるわけでない
    →自治体によって利用できる線引きが厳しいところがあります。利用するには「育児に不安がある」「保護者の体調が悪い」「周りにサポートしてくれる人が居ない」などの理由が必要である場合もあります(自治体によって対応は様々です)。産後ケアの申請をしたけれど、却下されてしまった、ということもあるようです。
  • 今すぐに利用、というのが難しい時がある
    →自治体を通しての利用なので、日程調整や事務処理が必要になってきます。そのため、すぐに対応というのが難しい場合があるので、利用する場合は早めに自治体へ連絡をした方がいいと思います。

他にも色々各施設によってできる・できないがあると思うので、利用する際は自分がしてほしいことができるのか、確認してもいいかもしれないですね。

利用の壁

しんどそうな産婦さんに保健師から産後ケアなどの利用を進める場合がありますが、なかなかその話が進まない時があります。特に産後ケアで宿泊型になると、車を運転できずに行く手段がなかったり、上の子がいるので利用しづらい、夫の理解が得れない、夫の身支度などが気になるといった理由で、利用できない産婦さんも多いです。そんな時は産後ヘルパーなどがあれば、是非使っていただけたらと思います。産後ヘルパーの1時間の利用でも、少し気分が変わったり、家事が軽減できます。
様々な理由で利用しづらい場合はありますが、できれば多くの方が利用できる世の中になったらいいなと思っています。

実際に産後ケアを利用した実体験

産前産後ヘルパーは住んでいた自治体にその制度がなかったので未経験なのですが、産後ケアは利用したことがあります。
第2子を出産後、育休がなかったためそのまま復帰したのですが、それはそれは心身ともにボロボロで(今振り返るとやめた方がいい)、そして産後ケアを利用している保護者と接していて、私も利用してみたいなと感じました。仕事でご一緒させていただいた助産師さんに相談して、その助産師さんの助産院へ一泊二日の利用をしてみました。その時は生後4か月までの母子が対象であり、私の子どもは生後6か月であったため、自費で3万円を支払いました(対象者だと自治体の補助があるので利用負担額は3000円でした)。上の子どもと一緒に宿泊し(利用した助産院は上の子と同伴入院が可能だった)、食事は1泊2日で3食ついており、普段自分で作らないような食事をいただき、助産師さんと楽しくしゃべりながら過ごしました。その時に初めて子どもが夜間5時間ほどぐっと寝てくれたため、とてもゆっくり寝れました。外を少しお散歩したりして過ごし、あっという間に退院でした。育児の方法や、不安があれば、その都度助産師さんが答えてくれるので、安心です。一緒に別室で入院されいた方がいらっしゃって、夜中に子どもが泣くと、助産師さんが来てくれて泣き止ましてくれたり、ケアをしてもらっていました。
産後ケアの入院は、気分転換や、体力の回復にはとてもおすすめです。

産後ケアホテルがあるらしい

産後ケアホテルってご存じですか?
ふとTwitterで産後ケアホテルの存在を知り、検索してみました。出てきたのはこの施設です。

見た感想としては「泊まってみたい!」の一言でした。24時間託児であったり、食事も彩がよく美味しそう、専門職のサポートも万全の体制で迎えてくれるところだなという印象です。

他に通常のホテルに助産師やシッターが派遣され、ケアをしてくれるというホテルもあるようです。

宿泊型ではなく、時間制で利用できるラウンジというものがあるらしいです。

いろいろな形で、産後のケアをされているんですね。

産後のケアを当たり前に

北欧の方では産後のフォローとして訪問を密に行っており、韓国などでは産後ケアホテルを利用するのが一般的であったり、出産時の入院の日数は日本と違ったりしていますが、様々な方法で産後の保護者と子どもをフォローしています。日本では、退院後に2週間健診(無い自治体もある)、1か月健診、4か月健診、後期健診(9か月~1歳になるまで)という感じでフォローをしています。その間で私たち保健師が適宜、保護者と子どもに介入していくという形です。
最近、産後ケアの重要性を産婦人科の先生が情報発信しています。また別の機会で産後うつ病の話をしたいと思っていますが、出産や育児はかなりの身体的・精神的な負担が大きく、それを機にしんどくなってしまう人は多いです。みんななんとかやりくりして子どもを育てていますが、出産や子育てを安心して楽しめるように、すべての人に産後のケアが必要ではないかと思います。「今までみんな頑張ってきたんだから、できるでしょ。」という意見もありますが、核家族化が進む中で、パートナーにも頼れない、実家にも頼れないという方はたくさんいます。そもそもみんな同じ環境で生活しているものではありませんし、そこまでしんどい思いをしないとダメなのでしょうか。みなさんがしんどいと思うのであれば、しんどくないように、いかに子どもと笑って向き合えるか、という方向にもっていくことで、それが虐待の予防や出生率の増加につながるのではないかと思います。手を抜くのはだめ、保護者はつらい思いして当たり前、楽をしてはいけないという考え方は、時代と共に変化していくべきだと思っています。本当は、特に理由がなくても自治体の補助を利用して、みんなが産後ケアを使えるようになったらいいのですが、それもなかなか難しい話です。

最後に

産後ケアは自費で支払うには料金的に高い・・・と思う方もいらっしゃると思います。専門職を揃え、24時間体制を整えるので、値段相応だと思います。だからこそ、自治体で利用できるなら是非利用してみてください。産後のケアは料金の問題や家庭の事情など様々な壁がありますが、自分の自治体で利用できる産後の事業は是非利用してほしいです。産後に保護者が気持ちに余裕を持ちながら育児を楽しめるような環境になるといいなと思います。
出産は全治一か月の外傷と同じと言われています。休めるときは休んでください。利用できる事業は利用してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次