自分が子どものころ、夫婦喧嘩をしているご両親を見ましたか?両親が怒鳴りあっていた、暴力をふるっていた、そんな光景はあったでしょうか。夫婦喧嘩なんてして当たり前、赤の他人が一緒に暮らすのだから、価値観も違うし、言い合いになるのは普通のこと。
私も子どもの頃、親の夫婦喧嘩をよく見ていました。暴力はなかったのですが、怒鳴り合ったり、物が割れたり、喧嘩の度に緊張が走り、「あぁまた始まったな…しんどいなぁ。」と動悸を感じながら耐えていました。夫婦喧嘩は日常的なもので、そういうものなんだと思っていました。夫と結婚し、この仕事をするまでは。
母子保健の仕事をするまで怒鳴りあいの夫婦喧嘩は心理的虐待とみなされることを知らなかった
現在は子どもの前で怒鳴りあいなどの夫婦喧嘩すると、子どもへの心理的虐待として見なされます。それって普通のことじゃないの?大袈裟じゃない?そう思っていました。私にとって怒鳴りあう夫婦喧嘩はそんな感覚でした。
しかし、夫と結婚し、夫は父親と正反対でとても精神的に安定した人で、冷静な対応をするので、声を荒げた夫婦喧嘩はしたことがないです。様子を窺って機嫌が悪くないかビクビクする必要もなく、声を荒げる人がいない生活ってこんなにも精神的に安定するものなのだなぁと思いました。そして実際に仕事の中で夫婦喧嘩の対応などの経験を積むことで、夫婦喧嘩はダメと認識するようになりました。夫婦喧嘩は子どもの成長に影響します。
夫婦喧嘩は子どもにどのような影響をもたらすのか
夫婦喧嘩を見ることで、子どもの自己肯定感や自尊感情が低くなることがあります。抑うつ状態になったりと精神的な症状を引き起こす原因にもなります。また、夫婦喧嘩を見た子どもが親になったとき、同じような行動をとってしまうこともあり、負の連鎖になります。こちらの記事の後半に子どもが受ける影響や夫婦喧嘩をしてしまった際の対処法などが書かれているので、参考にしてみてください。
夫婦喧嘩をしてしまうとき
夫婦喧嘩をしてはいけないとわかってはいても、急にやめることは難しいと思います。
- とりあえず子どもの前ではできるだけしない
- 暴力は絶対にしない
- 声のトーンを下げるように意識する
- できればその場を離れる
- 自分の好きなこと(美味しいものを食べたり、音楽聞いたり、本を読んだり)をして気を紛らわせる
という方法があるかなと思います。軽い喧嘩であればそれで何とかなることもありますが、ただ、喧嘩の内容が経済的なことだったり、子育てのことだったり、パートナーが常識的で人ではない場合だと、喧嘩も長期戦になったり、何度も同じことで喧嘩したり、ヒートアップしていったりしますよね。その場合は第3者に介入してもらうのも一つの手で、第3者に話を聞いてもらい客観的なアドバイスをもらったり、喧嘩の原因に対して何か社会的な資源を利用して少しでも困りごとを軽減する、などの方法もあるので、一度相談することを勧めます。
夫婦喧嘩の相談先
市町村には必ず児童相談員という社会福祉士さんや精神保健福祉士さんがいます。児童相談員さんは子育家庭を対象にした生活面をサポートしてくれる人たちです。なので児童相談員さんに直接電話するのも一つですし、私たち保健師もそのような話を聞くと、保護者の了解を得て児童相談員さんに繋げます。是非保健師でも大丈夫なので相談してみてください。
夫婦喧嘩が収拾つかなかったり、暴力が出てきたり…という場合は警察やDV相談窓口や児童相談窓口があるので、そちらに相談してくださいね。
最後に余談ですが…
余談ですが、大人になってから「子どものために夫婦喧嘩をしていた」と親から言われたことがあります。自分が今いる立場からすると、そうだとしても夫婦喧嘩は良くないし、それを言われると子どもの立場からしたら辛いな…と思います。私自身、両親の夫婦喧嘩を見ていてとてもしんどく、「子どもがいても、いつでも離婚できるように手に職をつけたい」と思い看護師になったのが、看護師を目指した理由の一つです(もちろん人の役に立ちたいというのも理由の一つです)。夫婦喧嘩なんて、したくてしているわけではないですよね。保護者が少しでも安定して生活ができるように、私たち保健師もサポートできればと思います。
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