保護者と保健師の壁④ 嫌がられる保健師

保健師になってすぐの頃、ネットで保健師の事に関して知りたいと思い、「保健師」と検索してみると、「保健師に嫌なこと言われた」「健診で保健師に引っかけられた」などの文章が出てきました。こちらの記事もどのようなワードで検索されているかというと、「保健師 嫌い」「保健師 うざい」などです。
初めはそんな嫌な存在として思われていることにショックでしたが、経験していくうちに、そうだよねー。と思うようになりました。

目次

なぜ保健師は嫌われるのか?

まず、保健師が関わる時は、保護者や子どもが良い状況ではないことがあります。病気であったり、身体的精神的に発達が遅れていたり…保護者や子どもにとってあまり聞かれたくないことですよね。他人に自分たちのことを言われたくない、アドバイスなんて不要と思う方がいて、当然。その状況に対する困り具合も、保護者によってそれぞれ変わってきます。
その状況に介入するのが私たち保健師の仕事で、困っている人にはもちろん介入しますが、そこまで困っていない人にも一応介入はします。
介入といっても、どのような状況か、サポート体制はあるか、不安や困り感はないか情報収集して、私たちの介入が不要であると判断したら、見守ります。でもその情報収集自体が、保護者にとって煩わしいこともありますよね。その情報が保護者が困っていなかったら余計なお世話になります。
ただ、その部分は、「困っているけれどSOSを出しにくい保護者がいる」という現状もあるので、保護者すべてに介入していく必要があると思い、すべての方に介入していきます。

育児でよく嫌な思いをしませんか?

育児をしていると、他人からのさりげない一言が心に引っかかったり、嫌な思いをしたりします。私ももちろんそう思うことがあります。妊娠中や出産後はホルモンのバランスが乱れ、涙もろくなったり、しんどくなりやすくなります。妊娠前には何も感じなかった一言で、傷ついたりします。
そして子どもが生まれ、保護者はずっと全力疾走していて、疲弊しています。小さい頃は24時間つきっきりで面倒をみて、少し大きくなり離れる時間があっても考えるのは子どものこと。
子ども中心の生活で、いろんな事に悩み、壁を越えてきた中で、たまたま通りかかった人に「子どもがかわいそう」と言われると、凄く腹が立ちますよね。「何も知らないくせになんなの?」と。
たまたま健診で当たった保健師から、我が子のことに関してコメントされた。それが保護者にとって良いことだったら何も感じないですし、困っている事なら「アドバイス」と受け取れますが、嫌なことに対して言われると「指摘された」と感じることもあり、場合によっては「今の言葉はどういう意味?」と考えてしまうこともあります。
保健師は基本的に保護者と一緒に考えていくというスタンスをとっていますが、状況によってはアドバイスなどを一方的に押し付けられたように感じる場合もあるかもしれません。

私たち保健師が望むのは、健やかに保護者と子どもが過ごすこと

健診では保護者からのお話で、困っているのか、そうでないのか、判断します。その状況に対して子どもも保護者も困っていなければ、一緒に様子をみましょうか、という話になります。
保護者は困っていないけれど、子どもが家庭や集団の生活で困っていそうと感じたら、少し保護者に踏み込んだ話をします。
例えば…
・言葉が出るのがゆっくりで、それによって癇癪が強くなっているようであれば、言葉を促すためにアドバイスを心理士さんにもらいませんか?
・歩くのがゆっくりであれば、医師もしくは理学療法士さんのアドバイスを受けませんか?
・育児の不安が強かったり、子どもとどう遊んでいいのかわからないのであれば、一度親子教室に来ませんか?
等、様々な案内(情報提供)をします。
ただ、この情報提供は、あくまでも情報提供なので、案内されたからと言って絶対に従わなければならないというわけではありません。

私たち保健師からの情報提供は強制ではありません

私たち保健師からの情報提供が、押しつけにならないよう、保護者の顔色や口調で様子を見ながら案内します。保護者が嫌な思いをしながら、このような案内を受け入れたとしても、良い結果にならないことが多いからです。それと、保護者が嫌な思いをした時、保健師に対して心を閉じてしまったら、保護者が困ったときに相談先が1つなくなってしまうので、それだけは避けたいと思いながら、お伝えしています。なので嫌だと思ったら、拒否していただいて構いません。
ただ、もし困ったことがあったとき、保健師からの紹介があれば、受けてみていただけたら嬉しいです。

保健師が味方という認識をもっていただけるよう頑張ります!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次