保健師として働いていると、たまに保護者の方が

育児に家事に、しんどいことはたくさんあるんですけど…私は専業主婦(夫)なので、働いている人に比べたら、そんな大変なことはないです…。
とおっしゃられます。最近は共働きが多い時代なので、専業主婦(夫)の割合も少なくなってきているのですが、私から見ると、専業主婦(夫)の方も大変なので、そんな自分を卑下しないでほしいなと思います。
専業主婦(夫)の大変さ
「専業主婦(夫)=自由な時間がある」と一般的な認識をされることが多いのですが、子育てしている専業主婦(夫)は全くそうではないと思います。専業主婦(夫)になると、
- 「専業主婦(夫)なんだから」と家事育児を全て押し付けられることもある
- 家事育児に対して完璧を求められることがある
- 24時間、子どもの面倒を見ないといけない
- 一人の時間がとりにくい
- 孤独感をものすごく感じてしまう
- 逃げ場がない
というところが、専業主婦(夫)の大変なところだと思います。
共働きであると、ある程度家が汚れていても、冷凍食品を使っても、「しょうがないよね」と自分自身も周りの人も感じると思いますが、専業主婦(夫)の方が同じ状況だと、「家にいるのに、なんでこんな状況なの?」と責められることがあります。しなくても多少大丈夫な家事があったとしても、どうしても目についてしまって、やらないと気が済まないこともあると思います。「遊んでー」「抱っこしてー」「やだー!」と家にいる愚図る子どもの相手をしながら、家事をこなさないといけないことなんてしょっちゅうありますよね。でも他人から見えない大変さが評価されず、見える部分で批判されてしまうのが、専業主婦(夫)のしんどいところだと思っています。
いろんな理由で働けない専業主婦(夫)がいる
専業主婦(夫)が大変なら、働けば?という方もいらっしゃいますが、保健師としていろいろな保護者を見ていると、働けない方もいらっしゃいます。
- 身体的・精神的なことで働けない
- 子どもの養育が大変なので働けない
- 預け先がなく働けない
- パートナーから専業主婦(夫)を強要される
という感じです。働くといっても、子どもは預ける必要があるので、就園先がなかなか見つからずに諦める方もいらっしゃいます。保育料を考えたら、頑張って働いても残るお金が少ないため、働くだけ損という場合もあります。また、生まれてきた子どもに病気があったりすると、仕事をしながら子育てというのは、かなり難しくなります。そして中には「自分より稼げるなら働きに行ってもいい」とパートナーに言われ、就労を妨害されている方もいらっしゃいます。なのでみんながみんな「自分が望んで専業主婦(夫)をしている」という訳ではないです。
ちなみに、専業主婦をしているのは女性だけというイメージがありますが、案外男性の方も専業主夫をされています。色々な家庭の形があり、男性で専業主夫をしている方も、専業主婦の方と違った悩みを抱えながら、がんばっていらっしゃいます。
専業主婦(夫)の方は、自分を卑下しないでほしい
どうしても共働きの方を見ると、「育児と家事に加えて仕事もしていて、専業主婦(夫)の私なんかより、大変」と思うかもしれません。ただ、共働きの方は保育園や幼稚園に預けることで子どもとの良い感じの距離が取れたり、わずかな時間ですが通勤時間という一人の時間があったり、お昼ご飯を一人で食べられたり、ある程度家が汚れていても見過ごせる、というメリットもあります。専業主婦(夫)の方は、ほぼ自分の時間はなく、家にいて家事と育児を一人でしていかないといけないというプレッシャーがある中で頑張っていらっしゃってて、もうしなければいけないことは十分されているので、自分を卑下して追い詰める必要はないと思います。
共働きの人も、専業主婦(夫)の方も、どちらも頑張っているので、頑張っている自分を褒めていただけたらと思います。



昔独身時代に病棟で働いていた時、先輩から「子育てしていると可愛いんだけど、やっぱり大変なことは多くって。職場に復帰した時に“一人で昼ごはんが食べられるなんて!”って思ったなぁ。」とおっしゃられていました。やはりずっと子どもに向き合いながら家で過ごすのは大変だと思います。
憧れの専業主婦から一転…専業主婦を1年ほどしてみたけれど、辛くてやめた
実は私、大学生のころぐらいまで専業主婦に憧れていました。「いつか結婚をしたら、パートナーのために専業主婦になる」というイメージを持っていました。そして社会人になり、夫と結婚をしたものの、まだ妊娠する予定もなかったので専業主婦にはならずに仕事を続けていました。
ところが夫が県外へ数年だけ転勤することとなり、夫に単身赴任をしてもらうか、退職して夫についていき専業主婦になるか、夫について行ってその場所で新しい仕事をするか、という選択でした。結婚を機に転職をして間もない時期で、しかも転職先は偶然自分に合った職場。その職を手放すのは、自分のキャリア的に嫌だと思いました。なので単身赴任はどうかという話を出したのですが、その時に外部から「多忙な夫を単身赴任させて、夫が一人で暮らして倒れたらどするのか。専業主婦にならないなんて、ありえない。」と言われました。その言葉を聞いて頑固な私は、「結婚したら私にキャリアを積む選択肢が無くなるのはおかしい。夫と暮らすのが条件なら、長距離通勤してでも仕事を続ける。」と強く思い、長距離通勤でなんとか仕事を続けていました。結局長距離通勤を始めて半年くらいして妊娠をし、今後子どもが生まれて子育てをしながらこの長距離通勤は難しいと判断し、産休に入るのと同時に退職を決意し、その流れで1年間専業主婦になりました。
憧れていた専業主婦だなぁ~と思いながら、産休後に1年間専業主婦をしました。専業主婦は想像していた以上に孤独な日々でした。出産前は、知り合いが全くおらず、孤独さを和らげるために、ずっと図書館で資格の勉強をしていました。出産後は初めてのわが子の育児で、24時間気が休まらず、夫は多忙で朝しか会うことはなく、夫に気を遣いながらの育児はとてもしんどかったです。専業主婦という立場で、育児以外にも家事もできるだけきっちりしなければいけないという意識が強く、自分は稼いでいなかったので自分のご褒美などにお金を使うのも躊躇する感じでした。育児や家庭の愚痴を吐き出したくても、吐くところはない。ちょっと一人になりたくても、託児にお金はかかるし、罪悪感も感じでしまう…。そんな生活が息苦しくて、精神的に追い込まれて、このまま専業主婦は無理だと判断し、1年間で専業主婦をやめ、働くことにしました。働くことはある程度のストレスは確かに溜まりますが、仕事だけでなくプライベートのしんどさも休憩時間に同僚と話をすることができます。一人で休憩時間にご飯を食べれ、出勤前後の時間でちょっと息抜きに音楽を聴いたりSNSを覗いてストレス発散をしたり、わずかな時間ですがそんな息抜きができます。保育園にはよりますが、仕事がお休みの時も子どもを預けることができるので、「午前中だけ子どもを預けよう」という選択肢ができ、その時間を自分のためや家事に充てることができます。
でもそれが専業主婦(夫)にはありません。働くのも大変ですが、専業主婦(夫)も大変です。たまにSNSで専業主婦(夫)と共働きが論争しているのを見かけますが、両方ともにしんどい思いをしながら頑張っていると思います。なので「どっちがどれだけ大変だ」というのは、測れないと思っています。



人によって働くのが過ごしやすいのか、専業主婦(夫)でいるのが過ごしやすいのか、変わってくるので、専業主婦(夫)やいろいろな働き方を経験して、自分に合った育児のライフスタイルを取り入れていただけたらと思います。
余談ですが、「自分より稼げるなら働いてもいい」というパートナーの意見はおかしい
たまにいらっしゃるのですが、



パートナーに「どうせ自分より稼げないでしょ?じゃぁ働く意味ないじゃん?」と言われるんです…
という方をお見かけします。その言動はおかしいと思います。新しい職場で働く際に、ずっと働いてきたパートナーよりもいい給料で働ける方なんて、有資格者の中でもほんの一握りの方です。たいていそのような夫婦関係で過ごしている家庭では、片一方に育児や家事の負担が大きいことが多いので、負担が大きい方が時短勤務でないと家事・育児は回りにくいですし、その分給料は下がります。同じ土俵でないのに、それを給料で比較するのはナンセンスです。



そもそも給料で夫婦関係や家事・育児面の立場が決まること自体がおかしいと思います。
そのような方をお見かけした時、他にパートナーから暴言・暴力、経済的な制限をかけられてないか心配になります。そのようなことがある場合は家庭内暴力(DV)にあたるので、外部へ相談することを勧めます。





夫婦関係で悩んだときは、第三者から客観視してもらうのは大事かと思います。男性女性関係なく、さまざまな方が悩んでいらっしゃって、男性から悩みを発信されることも日常的にあります。悩んだときは、相談してみてください。
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