就園先② 幼稚園

ここでは就園先として幼稚園の話をしていきます。私自身は幼稚園出身ではなく、自分の子も保育園へ通園しているため、仕事上で知っている範囲内の話をしていきます。

仕事でよく悩んでいる保護者から聞く話の例としては

  • どうやって幼稚園を選べばいいの?
  • 幼稚園へ通園しているが、子どもにチックなどの身体症状が出ている
  • 発達がゆっくりであるが、幼稚園へ通えるか心配
  • 発達がゆっくりであったり、身体的な疾患のため医療的ケアが必要で、通園している幼稚園から見ないと言われた

などです。

基本的に私個人の考えは「特に未就学児が大きい負担を背負いながら行事ごと・習い事を幼稚園や保育園で頑張る必要はない」と思っています。自分の子どもは対人面が弱く、興味のあるものとないものへの差が大きいので、習い事のない保育園へ入園してのびのびと成長しています。ただ、幼稚園で習い事をしてくれたら、送迎も要らないですし、保護者としてはとてもありがたいですよね。

目次

保護者が子どもに求めることは何ですか?

幼稚園と言っても、色々な特色を持った幼稚園があります。勉強に特化した幼稚園、行事ごとに力を入れている幼稚園、のびのびと自由に成長を促す幼稚園。保護者が自分の子どもはこんな風に育ってほしい、という思いは幼稚園選びにも多少なりとも反映されると思います。保護者がその思いを持って幼稚園を選ぶのは、保護者として大切な役割です。

どのように考えて幼稚園を選ぶかは、自由です。ただ、「賢い子に育ってほしい、将来はこんな風に活躍してほしい、だから幼稚園はここを選んで、伸ばしていきたい」と思っていても、子ども成長は保護者の願い通りにはいかないこともあります。幼稚園が思っていたような感じではなく、子どもに合わなかったり、保護者が子どもに求める理想が、子どもにとっては不得意な分野であったりして、子どもに過度のストレスがかかることがあります。そのストレスがチックなどにつながったりします。2歳児くらいになると、子どもの得意・不得意な部分が見えてきます。子どもの適応能力は高いので、もちろん不得意なところも伸びてきますが、不得意なところを強化するというよりは、得意な面を伸ばしながら、成長できる幼稚園を選ぶのをお勧めします。

幼稚園はたいていプレがあったりするので、いくつか候補を絞り、プレを掛け持ちして雰囲気をつかみ、入園する場所を決めるという保護者もいます。

幼稚園選びは子どものことだけでなく、保護者のことも大事です


恐らく入園時期までには、地域のママ友などから幼稚園に関する情報収集はできると思います。
子どものことを考えて選ぶのも大事ですが、保護者の負担も考えて選んでください。
例えば・・・

  • お昼はお弁当か給食か
  • 預かり保育があるのか
  • 自宅からの距離や通園の仕方
  • 保護者会などの負担
  • 経済的な費用(雑費や習い事など)等

お弁当を毎日作るのは大変です。週に1日でも給食があるだけで、保護者の負担は違います。
子どものことも大事ですが、保護者がどれだけ負担が少ないかというのはとても大事です。是非、ご自身のことも考えてください。

幼稚園へ入園できるか、通園できるか心配な時

子どもの発達がゆっくりな場合も含めて、希望している幼稚園へ入園できるか、幼稚園で子どもがついていけるか保護者が心配するかと思います。幼稚園は保育園と違い、入園テストがあるので、質問に答えられなかったりすると不合格で通園できません。入園テスト、すごく緊張しますよね。保護者の方もとても緊張されると思います。入園テストに不合格だからといって、子どもが悪いとか、保護者が悪いとか、そのようなことは一切ないと思います。単に「幼稚園と合わなかった」のだと思います。幼稚園も経営しているので(特に民間では)、雇用できる幼稚園教諭の人数や、運営方針などで、「入園させれる子」というのが決まってくると思います。そういった幼稚園側の事情で「ここまでできるラインの子どもが入園して欲しい」と思い、合格・不合格のラインを決めていると思います。恐らく不合格だろうなという子が合格したりということも意外とあるので、実際テストを受けてみないとわかりません。

よく私たち保健師が関わるケースとしては、入園テストに合格したのに、幼稚園の生活や行事についていけずに退園を求められた、ということが多いです。保護者としては、「それは発達障害ということか?なぜ入園テストで合格させたんだ」という思いがあります。入園料や制服代など、お金がかかるので、一層思いが強くなると思います。
幼稚園側からすると、短時間の入園テストでは見極められなかった、入園テストの時は大丈夫だったが、時が経つにつれて周りの子と違い成長がゆっくりだった、ということが多いと思います。入園テストの短時間で、子どもの様子を全て読み取るというのは難しいです。それは私たち保健師が行っている健診でも言えることです。

そんな時、どうしたらいいのか?
転園先(入園先の時も)を決めるときは、「子どもの不得意なところを幼稚園でどう補ってくれるか」というところだと思います。子どもがどういうところが苦手で、それを幼稚園の中で誰がどのように対処してくれるのか、具体的に説明できる幼稚園は、その子にとって適した場所と思います。
幼稚園を探している時、もちろん幼稚園の建物の綺麗さや行事の気合の入れ方などは重要ですが、子どもの負担を軽減できる考え方が幼稚園としてあるか、困ったときに手を差し伸べてくれる先生が担任の先生以外にもいるか等、子どもが生活する上で楽しく学べる場所を探してください。その点は、例えば行事の練習が厳しくてチックが出ている等の時も、幼稚園としてどう対処してくれるか(もっと子どもが気を楽にして参加できる方法を探したり)を一度幼稚園の担任の先生と話をしてみてください。

発達がゆっくりだと、医療的ケアが必要だと、幼稚園へは通えないのか?

幼稚園にも、公立と民間があります。
発達がゆっくりだとしても、保育園の記事で説明した加配制度が公立の幼稚園にはある自治体もあるので(自治体によって様々なので、公立でも無いところや民間でもあったりするのかもしれません)、丁寧に関わってくれる幼稚園はあります。


また、民間の幼稚園でも、複数担任で通常よりも目が届くような幼稚園があったり、丁寧な関わりが必要な子に対して個別対応する幼稚園があったり、障がい児保育も行っているとアピールしている幼稚園もあります。
医療的ケアの子どもに関しては、看護師が配置されていたり、保護者の援助を受けて通園している子どももいます。必要な医療によって、幼稚園で受け入れが可能かどうか変わってきます。幼稚園で一旦受け入れはしたが、集団生活を実際してみた結果、現状として厳しく、例えば保育園やもっと医療に特化した施設に通園してほしいと言われる場合もあります。
自治体や幼稚園によって受け入れる幅は様々なので、私たち保健師も関わって、一緒に情報収集したり、見学に行ったりして、保護者が決定するまでの支援をしています。

最後に

幼稚園への入園や転園などは、保護者の精神面がとても辛くなり、涙を流しながら話す保護者も多いです。特に転園であったり、入園を希望していた幼稚園でなく保育園やその他の施設を選んだ保護者は「この子は幼稚園に行けなかった」と悲嘆する保護者が多いです。
しかし、子どもの力を十分に発揮できない場所や状況は、子どもが成長する上で勿体ないと思います。長い先の未来を考えて、特定の幼稚園に固執するよりも、子どもの成長を最大限に引き出せる場所で過ごした方が、子どもの成長は大きく伸びると思います。
保護者の周りの親族の意見や世間体に押しつぶされそうな時もあるかと思います。でも「子どもにとって合っているかどうか」と「保護者の負担」の視点を忘れないでいただけると嬉しいです。
そして悩んだときは一人で抱え込まず、私たち保健師が相談にのることも忘れないでいただけると有難いです。

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