この子育て支援の仕事をしていると、必ず子どもの性被害のケースに出会います。意外と大人になって、自分自身が性被害に遭っていたな、自分が経験したのは性被害だったよね…と思う方、いらっしゃるのではないでしょうか。私もその中の一人です。
子どもを産んでから、昔の嫌な記憶が蘇ってきた
大学生を卒業して社会人になり、夫に出会って結婚して子どもができるまで、頭の片隅に閉じていた記憶。それが子どもができ、子どもが性被害に遭ったというニュースを聞いて、蘇ってきました。自分が性被害に遭っていたこと。誘拐されかけたり、痴漢もあるし、知り合いから体を触られたりと、色々ありました。ここでは、少し性被害の具体的な話をするので、自分が経験して見るのが辛い方などは、このままそっとブログを閉じていただいた方が良いと思います。
仕事で経験する性被害
子育て支援の仕事をしている以上、やはり性被害に遭われた子どもや女性を見ることはあります。近頃はSNSにより、子どもたちが知らない人と連絡を取りやすくなり、さらに性被害に遭う可能性が高まっています。SNSで初めて会った人から逃げることができずに性被害に遭い、妊娠してしまったということもあります。実父や親の再婚相手からの性被害などもあります。仕事で会う被害者の方々ですが、やはり対応する側としては、とても辛いです。一度起きてしまった事実は、消すことができません。どうにか防ぐ手立てはなかったのか、その思いがぐるぐる回ります。保健センター以上に、小児科や産婦人科の先生は、もっと性被害に遭われた方々を診ているのだろうなと思います。
性被害に遭っても、周りに言いづらい
私は小学生の頃、その日たまたま決められた通学路とは違う道で下校していました。友達とバイバイしてすぐ、バイクが近寄ってきました。20代くらいの男性で「○○駅って知ってる?」と聞かれ、あまりよくわからなかった私は「あっちかなぁ?」と答えると「道教えてよ。」とヒョイと体を抱えられ、バイクに乗らされました。体を触られながら、バイクが走り出したのですが、怖くて叫べず、恐怖の中、たまたまバイクの振動でバイクの足置き場にドスンと私は落ちました。それを見て諦めたのか、「ごめんね~」っと私を降ろして去っていきました。バイクが去った後、頭が真っ白になりながら帰宅をしたのを覚えています。決められた通学路で帰っていなかった私は、「悪いことしたからだ」という思いが強く、叱られると思い、怖くて誰にも言えず、もちろん親には内緒にしていました。もしたまたまバイクの振動で体が落ちなければ、私は最悪の場合、連れ去られて死んでたかもしれないと思うと、ゾッとします。中学生の頃も、電車通学だった私は痴漢に遭いましたが、「痴漢に遭った」というのが恥ずかしく、その時も親には言えませんでした。
性被害に遭うと、自分が悪いわけではないのに、自分が悪いのではないかと思ってしまうこの思いと、性被害に遭った恐怖心で、その事実を心の中にしまってしまいます。
意外と身近な加害者
子どもの性被害は顔見知りが意外と多いといいますが、その通りだと思います。私自身も知り合いから性被害を受けました。よく家に遊びに来ていた知り合いに、体を触られたり、お風呂上がりの裸を見られたり、お風呂で上がってくるのを待ち伏せされたりしていました。嫌な目に何度も遭いましたが、「やめて」というのを言えず、親の知り合いだったので親にも話せず、時が過ぎ去るのをずっと我慢していました。顔見知りだと、まわりにとても言いづらい。親と知り合いが喧嘩したらどうしよう、ギクシャクしたらどうしよう、私さえ我慢したらいいと思って過ごしていました。でも、やはり今振り返ると、それは違います。ちゃんと親に言わなければならなかったと思いますが、親とそういう性の話をしたことがない上に、更に知り合いだったので、言いづらいのは仕方がなかったのかなと思います。
通っていた歯医者さんでも経験したことがあります。歯科矯正をしていた私は定期的に通う必要があり、小学生~中学生の頃、病院へ行くたびにその歯医者から「まだオシメしてるんじゃないか?」と太ももを撫でられていました。今考えると本当に気持ち悪いですし、よく耐えていたなと思います。本当に色んなところで子どもの性被害は合う可能性があるというのを痛感しています。
被害者は女性だけではない
「性被害」と聞くと、なんとなく被害者は女性と思いがちですが、性被害の対象は女性だけではありません。男性もいます。
守らなければならないのは、男女関係なく、子ども達みんなです。性被害は本人が言わない限り、表には出てこないので、男女ともに被害者は統計で出されている人数だけではないと思います。(警察庁が出している性被害に関する統計データですR3kodomonoseihigaigraph.pdf (npa.go.jp))ただ、「性被害に遭いました」というのは、とても言いづらく、勇気がいることです。
性教育をしていく必要がある
我が子には、同じような思いをしてほしくない。そう思うのであれば、やはり性教育はしていかなければなりません。性に関して、親子で話す機会が必要で、もっとオープンに話すことができるようにしておかなければならないと思います。それは被害に遭わないのと同時に、加害者にもならないように、必要なことであると思います。性教育に関して、子どもと面と向かって何も材料無しに話するのって、難しいですよね。どう話し始めていいかわからないし、どう教えたらいいかわからない。じゃぁお母さん、お父さんはどうしてるの?と聞かれると、どう返事していいかわからないですよね。話をするきっかけとして女医さんが絵本を作ってくれていたり、助産師さんが本を書いています。
例えば遠見先生という産婦人科の女医さんが書かれた絵本。この絵本は、体の大事なパーツのこと、こういうことをされたら「ダメ」っていうんだよ、逃げれなくても悪くないんだよ、ということを子どもに教えてくれる絵本です。最後の「逃げられなくても悪くない」というのは、子どもの心を守るためにはとても重要な言葉がけだと思います。本を子どもと一緒に読んでいて、私自身も少し癒されました。子ども達も興味津々で何度も「読んで!」と持ってきます。
ちなみに遠見先生のお話が載っていて、素敵なので、こちらのHPもよければ是非読んでみてください✨
そしてこちらは、シオリーヌさんという助産師さんが書かれた保護者にアプローチする本です。子どもに対してどのように月経や妊娠などを伝えていくかということや、子どもからの質問で返事しにくいことはどう答えるかというのが書かれています。とても勉強になり、言いづらいこともこんな感じで答えたらいいのね、と参考になります。
保護者ができること
保護者ができることとしては、性教育だったり、防犯グッズを持たせたりしますが、保護者が子どもに付きっ切りというのも難しいですし、加害者は保護者の隙を狙ってきます。ただ、できる限りのことはしておいた方が良いと思うので、子どもには幼少期からの性教育を勧めます。それと、万が一我が子が性被害に遭った時の対応の仕方を知っておいた方が良いと思います。参考になるHPがこちらです。
子どもから性被害の話を聞いたら、保護者も焦ると思います。HPに書いてあるような完璧な対応は難しいと思うので(私もできる自信はないです…)、知識だけでも持っていたら子どもにベターな関わり方ができるのではないかと思います。
性被害に遭った時の相談窓口は内閣府が各都道府県の相談窓口を情報提供しています。
子どもに対しても大人に対しても、性被害というもの自体が少しでもなくなっていくことを、本当に願っています。
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