母子保健関係の仕事をしていると、「発達面で気になる」と言われた保護者の様々な思いを聞くことがあります。発達が心配な気持ち、発達が気になると言われた時の気持ち、子どものこだわりなどに付き合うしんどさの気持ち…様々な気持ちを抱きながら、日々育児をされていると思います。
保護者の気持ちをそのまま表現した『あなたを愛しているつもりで、私は――』という本
自閉症スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害と診断された保護者の物語で、1歳くらいから感じていた違和感や、診断を受ける様子が書かれています。
保護者の子どもの成長に対する気持ちの葛藤や保護者自身の養育面でのしんどさも描かれています。
最後に精神科医の本田秀夫先生が解説を書かれており、育児の大変さ・発達障害についての解説や周りの環境の話もとても分かりやすく書いていらっしゃいます。
子どもの成長に対してちょっとした「違和感」を感じている保護者
発達に関して気になる保護者の中には、『1歳児頃あたりから「他の子と違うかも」という思いを持ちながらも、「いや、大丈夫だと思う」という気持ちを持って過ごしてきた。でも成長するにつれ、その違いが顕著になっていき、「やっぱりそうだったんだ」と思った。』という保護者は多いです。「まだ小さいし、そんなものかな」という気持ちが勝つのは当たり前だと思います。誰しも自分の子が「発達がゆっくり」であったり「発達に問題がある」という事に対して、ポジティブにとらえられる人なんていないです。生きている限り、困難が立ちはだかると、どうしてもそれを受け入れられないという葛藤が生じるのは当たり前で、それを受け入れるには時間が必要です。受け入れられない自分が嫌という気持ちを持つ保護者の方もいますが、もちろん当たり前なので、自分を責める必要はないです。
ただ、子育てのしんどさに対して共感することは、子育ての中でストレスの吐き口にもなるので、必要かと思います。この本を読んでみると、「その状況、わかる…」と、みんなそれぞれ大変な思いをしているのだなぁと共感できるので、そのような機会があると少しストレスも解消できるかもしれません。
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