最近、SNSで女性用トイレに何歳まで男児を連れて行っていいのか、大人が子どもに道を尋ねる声掛けをして不審者情報として通報が入るのはおかしいのか、子どもの身の危険に関して様々な意見を見ます。
子どもの身を守るためにしている行動が、やりすぎか、そうではないのかで、色々と論争が起きており、そんな論争を見ている私ですが…。子どもの頃に身の危険を経験している私としては、結論的に言うと、「周囲を不快にしないように配慮しながら、自分が親としてどう子どもを守っていきたいか」で行動したらいいと思います。
意外と狙われる男児、いつまで母と一緒に女子トイレを利用できるのか
よくSNSで見かけるのが、「女子トイレから男児が出てきて不快だった」というお話です。何歳まで男児は母親と一緒に女子トイレに入っていいのか、温泉のように「〇歳以上の男児は女性のお風呂には入れません」と明確に書かれているわけでもないので、保護者各々の感覚に任されていると思います。その曖昧な線引きが論争を起こしていると思うのですが、心配している保護者からすると、こういう事件が心配なんだと思います。
男児への性被害は、皆さんが思っているよりもあると思います。性被害自体があまり明るみに出ないのに、その中で子どもで、しかも男児というところだと、明るみに出ている性被害の件数は実際より少ないと思います。

この記事の中で、男性の筆者が「小学校6年生まで息子さんのトイレに一緒に行っていた」とおっしゃられていたのが印象的でした。私自身も息子が小学校1年生の時はずっと付いて行っていて、一人でトイレへ行かせたことはないです。それ以降は、慣れたところは行ってもらったり、安全なトイレ(ホテルや治安の良さそうなところ)は一人で行けそうなら行ってもらいます。ただ、治安が良くなさそうで、利用したことのないトイレは使用せず、その場合は一緒に人気の少ない多目的トイレを使用していたりします。
「子どもであっても、男が女性用トイレにいるのは嫌」という方は一定数いると思います。それは仕方のないことなので、人気の少ない多目的トイレを使用したり、多目的トイレを使用する際はなるべく早く出ることを心掛けたりして利用するしかないと思います。
余談ですが、私は大学の卒業論文で「男性のDV被害について」という研究をして卒業論文を書きました。その時に思ったのは、世間的に男性のDV被害者ってあまりないように思うのですが、実は思っているよりもいます(女性に比べると少ないですが)。DVも性被害も男性だから大丈夫ということはないです。なので、男の子でもしっかり性教育は必要で、プライベートゾーンを触ることはダメなこと、万が一性被害に遭った際に悪いのは相手であって、相手の口車に乗ってしまった子どもは悪くないこと、被害に遭った際にはきちんと親や学校に報告することを伝えておく必要があります。
知らない大人からの声掛け事案
以前、このような投稿を見かけました。
「大人が子どもに声をかけただけで通報されるなんて」という主旨だと思うのですが、私はその方法で、誘拐されそうになりました。
小学校4年生くらいの時でしたが、一人で下校中、バイクに乗っていた20代くらいの男性に「〇〇駅ってどこか知ってる?」と聞かれました。「あっちの方かなぁ?」と答えたところ、「じゃぁ教えて」とひょいと体を持ち上げられ、バイクに乗せられ、男性はそのままバイクを走らせていました。
その時の私はというと、あっという間の出来事にあっけにとられ、叫ぶどころではありませんでした。恐怖心でどうしていいかわからず、しばらく走行していた時にたまたま段差の部分があったから?か、バイクの足置き場に私の体がドスンとズレ落ち、バイクを停めざる得ない状況になりました。男性はバイクを停め、「怖かったよね、ごめんね」と一言言って、私をバイクから降ろし、そのまま去っていきました。
降ろされた後は、家まで一人で帰宅しました。その時、たまたま決められた下校ルートではなく、友達の家の前を通って帰るために、一本違う道を下校していました。「決められた下校ルートを通らなかったから、罰が当たったんだ。」と思い、親に怒られると思った私は、親に言えませんでした。体がズレ落ちていなかったら、今頃私はそのまま連れ去られて殺されていたのかもしれないと思うと、とても怖いです。小学校4年生くらいの体格でも、成人男性なら簡単に持ち上げられます。この恐怖を味わった身からすると、特に低学年のわが子を一人で歩かせるのは、私にはできません。いくら公道に防犯カメラが設置されているといっても、連れ去られたり、被害に遭ってからでは、心の傷が癒えることはありません。わが子にはこんな被害に遭っては欲しくないので、わが子は小学生になりましたが、今もまだ、出かけるときは一緒について行っています。小学校の登下校も一緒にしています。お友達と公園に遊びに行くのも、一緒について行っています。いつになったら一人で歩かせるのかというと、子どもが「恥ずかしいから付いてこないで」と言われるまでは、一緒に過ごそうと思っています。それが過保護と言われたら、日本では過保護なのかもしれません。ただ、「過保護じゃない?」と言える立場なのは、自分が被害に遭ってしんどい目に遭っていないだけで、被害に遭った身からすると、本当に今でも嫌な気分になるときがあります。何も被害がなく過ごせているのはたまたま運が良かっただけ、加害者から目を付けられなかっただけ、と私は思っています。治安の悪い海外では、子どもを一人で歩かせない様にルールを決めているところもあります。「日本は治安がいいから大丈夫」という認識は、現代のニュースを聞いていると、もう思わない方がいいと思います。被害に遭うのは、顔の可愛さの有無・スタイルの良さの有無、性別等は、関係ありません。子どもに自衛させるといっても、限度があります。なのでその部分は大人が守っていかなければならないと思っているので、誰に何を言われようと、自分ができる範囲内で子どもに付き添えることはしていこうと思っています。
ちなみに登下校でわが子のお友達と話をするときがあり、「なんで〇〇(わが子)のお母さんはいつも一緒に学校に来たり迎えに来たりするの?」と言われます。その時に「自分が小学生の時に嫌なことあった時があったから、不安でついて行ってるの」と話すと、「そういえばねー、この間公園で、知らない人に話しかけられて、変な人だったからぶっとばしたよー!」という返事が来たりします。どこまでが実際の話なのかはわからなかったのですが、「それってお母さん知ってるの?」と聞いても、「言ってないけど、お母さんには絶対言わないで。」という返事されたことがありました。どこまでが実際の話かは分かりませんが、子どもが親に言えない状況は、親が思っているよりあると思います。子どもへは「自分が嫌だ・変だと思うことをしてくる大人は、大人が間違ったことをしているから、教えてね。子どもが自分が悪いことをしたからだと思わせる大人がいるけれど、それは違うからね。子どもに対してしてはいけないことをする大人が悪いんだよ。」と常に子どもには伝えています。
この経験があるからか、私は知らない男性と一対一で一緒にエレベーターに乗るのがものすごく嫌で、一緒になりそうなときは次のエレベーターが来るのを待って乗っていたりします。子どもに「なんで今来たエレベーター来たのに乗らなかったの?」と言われた時があり、理由を子どもに説明して以降、子どもたちも理解してくれているのでありがたいです。
顔見知りの加害が多い性被害
性被害と聞くと、まさか家族が、親戚が、知人がそんなことするわけないと思う方が多いのではないかと思います。しかし、意外と顔見知りの加害者は多いと言われていて、6~8割は顔見知りということがわかっています。
実際に私も、知人からの性被害も受けたことがあります。明らかにおかしい体の触り方や、入浴中に脱衣所で待たれたり、色々ありました。でも親の知人だったので、「やめて」とは言えず、ただただ気付かないふりをしたりしていて、親には言えませんでした。その時はもう「親の知人だから言いづらい、親がその知人と関係が悪くなるくらいなら、言わない方がいい」と思っていました。
その経験があるので、わが子には「ママの知り合いでも、嫌なことをしてくる人や、変なところを触ってくる人がいたら、必ず言って欲しい。知ってる人だから変なことをしてこないとは限らないから。そういう時は、その人には二度と近づかないようにするから言ってね。」と子どもには小さいころから伝えています。私自身がそういう経験をして嫌な思いをしているからか、特に自分の娘を抱っこしようとする男性がいると(遊んでくださっているときに)、ものすごく嫌悪感を感じてピリピリする自分がいます。私がある程度信頼関係を築いている男性でも、娘と遊んでくださっている時に「抱っこしようか~?」と言われると緊張が走ります。信頼している人を疑うの、嫌だなと思いながら過ごしています。
私はどちらかというと人間関係をあっさり断捨離するタイプなので、わが子や自分を傷つけてくる人、傷つけようとしてくる人とはスパッと関係を断ちます。性被害のように、関係を断つ理由を言えない場合もあり、周りは理由を知らないので周囲の人からすると、なんでそんな関係を切るの?ひどくない?と思われたり、実際に言われたこともあります。でも、子どもや自分を傷つける人と関わる必要は全くないので、私は会わない、会っても近づかないようにしています。
もし子どもから「あの人嫌だから会いたくない」と理由はあまり言わず、でもその人と接触を嫌がるようだったら、いろんな可能性を考慮して、なるべく接触しないようにしていただけたらと思います。加害者は意外と自分が信用している人だったりします。
ちなみに加害者が未成年の場合、「被害者が加害者を誘ってきたからこうなったのではないか」と加害者のわが子を庇おうとする発言をする親はいます。もちろん親として庇いたい気持ちはわかりますが、やってはいけないことに間違いはないです。おそらくそういう人とは話をしても通じないことが多いので、外部の人間に入ってもらって解決した方がいいと思います。
私が子どもの安全を守る行動は過保護なのか、夫と意見が分かれる
子どもが小学生に上がったときに、「トイレも一人で行けないとだめじゃない?登下校くらいひとりで行けるようにしないと。親離れをしていかないといけないよ。」と、そのことで夫と意見が食い違っていました。今も意見は食い違っていると思います。
日本の常識だと、そうなんだろうなと思います。ただ、私の経験からすると、わが子が自分と同じ経験をさせたくない、そういう経験をしたことで大人になってしんどい思いをしてほしくない、そう考えると、子どもが少しでも危険な環境に一人で過ごさせることはできないんです。
だからこそ思うのが、「経験をしたことない人に、同じ思いをして欲しいというのは難しいことで、理解をしてもらうのも無理」ということです。そう割り切っているのと、結局子どもを見守るのは私自身なので、周りに何を言われようと、自分ができる範囲内で子どもの安全を見守っていけばいいかなと思っています(もちろん私が見守りをできるように仕事を調整できているのは、夫のおかげなので、とても感謝しています)。
SNSを見ていると、様々な意見があり、その論争に目を背けたくなります。おそらくその論争が無くなっていくことは考えにくく、私たち夫婦間でも意見の食い違いは無くならないかなと思います。その部分は仕方のないことなので、自分ができる範囲内で、子どもを見守っていただけたらと思います。
性教育におすすめの本
性教育におすすめの書籍がこちら。
- だいじ だいじ どーこだ
産婦人科医の遠見先生が書かれた書籍で、乳幼児期の子どもにわかりやすく説明してくれる本です。わが子たちもこの本でプライベートゾーンを学びました。本屋さんでもよく目につくところに置いてあります。
- とにかくさけんでにげるんだ
こちらの本は、幼児~小学校低学年向けの本で、知らない人に触られた、連れ去られそうになった、顔見知りに嫌なことをされたというストーリーが描かれている本になります。各ストーリーで、被害者の子どもの気持ちを文章で表現してあり、それに対して親が温かい言葉で子どもを守ってくれているという話になっており、子どもが被害に遭ったときにどう思うか、それに対して「子どもは悪くないよ」とはっきり述べてくれているので、子どもにもわかりいやすい本かと思います。
- 身近な危険 防災と防犯
こちらの本は漫画になっていて、ふりがなもふってあるので、小学生低学年のおススメの本になると思います。声掛け事案が発生する時間帯、怪しい人が出そうな場所、こう声をかけられたらどうするか、親が不在の時の訪問者はどうするか、などが詳しく書かれており、とても勉強になる本だと思います。ほかにも家の中の危険なものについてなどの事などが書かれているので、小学生にはとてもおススメです。

子どもが大きくなるにつれて危険も伴ってくるので、子ども自身の意識や知識は大切です。小さいころからの性教育はしておきましょう。
子どもの被害が無くなって欲しいと、心から願っています。
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