児童発達支援や療育園という名称を聞いたことがある方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。
私自身、療育園というのはぼんやりと聞いたことはありましたが、児童発達支援はこの職に就くまで聞いたことがありませんでした。
全国には色々な療育施設があり、私が仕事で知り得た情報を載せているので、多少地域や施設によって利用の仕方や療育内容など違いがあるかもしれません。
児童発達支援ってなに?
児童発達支援の対象は未就学児で、発達が身体的・精神的にゆっくりな子どもが療育を受けれる場所です。
児童発達支援は放課後デイサービスと共に運営しているところが多い印象です。
最近、放課後デイサービスは街中でよく見かける施設ではないでしょうか。放課後デイサービスは、対象は小学生以上で、発達がゆっくりな小学生以上の子が学校が終わった放課後に専門のスタッフとともに課題をして発達を伸ばしていくところになります。
児童発達支援と放課後デイサービスを一緒に運営している施設は、時間帯によって受け入れる子どもが違い、例えば平日の午前中から昼過ぎまでは児童発達支援の子ども(未就学児)を受け入れ、夕方からは放課後デイサービスの子ども(就学児)を受け入れるという感じになっています。土日もやっている施設があり、未就学児と就学児が一緒になって活動するところもあります。
施設によっては、児童発達支援のみ、放課後デイサービスのみというところもあるようです。
児童発達支援は、保育園や幼稚園へ通園しながら通えることもあります。
例えば・・・
- 曜日によって保育園・児童発達支援を利用する
- 保育園を昼過ぎに抜けて児童発達支援で短時間過ごしてまた保育園へ戻る
- 半日を保育園で過ごし、残りの半日を児童発達支援で過ごす。
児童発達支援は利用しやすいですが、逆にその環境の変化が子どもにとっては負担になることもあるので、周りのアドバイスを聞きながら、実際に体験しながら、児童発達支援の利用をお勧めします。
療育園ってなに?
療育園も身体的・精神的にゆっくりな子どもが専門職が見守りながら、しっかり療育を受けれる場所になります。全国の療育園を知っているわけではないのですが、保育園などとの併用はできないのではないかと思います。療育園には保育士・心理士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など専門的知識を持った方々が在籍しており、安心して保育をしてもらえる場所です。
療育園と児童発達支援の違いってなに?
療育園と児童発達支援の違いとしては、これも全国の施設を知っているわけではないので私が知っている限りでの話になります。
療育園は専門職(保育士・心理士・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士など)が常勤でいるイメージです。なので発達検査や訓練などをその施設で行っています。専門職から保護者への勉強会などもあるようで、一緒に子どもへのかかわりを学びます。
入園するには何らかの診断がつき、主治医をもっていなければならないなどの条件が必要であるところもあります。
児童発達支援は療育園より療育をもっと身近にフレキシブルに利用できる施設というイメージです。
児童発達支援や療育園の利用の仕方は?受給者証ってなに?
児童発達支援も療育園も「受給者証」というものを市町村から発行してもらい、利用できます。受給者証は、療育施設を何日利用していいよ、という許可証みないなものです。受給者証の申請すると、その子の発達の状況によって1か月に何日利用可能か決められ、その日数分を利用することになります。療育園へ通園する子どもなら、1か月丸々の日数をもらっての利用になります。
受給者証は、発達に遅れがある子どもが、療育を受けるために自治体が料金を何割か補助し、保護者が残りの金額を支払い利用できる、というものになります。自治体が何割かを補助しているため、誰でも利用可能というわけにはいかないので、皆が皆申請したからといって取得できるものではありません。医師の診断や発達の検査結果などを元に審査され、発行されます。ちなみに放課後デイサービスも受給者証を取得しての利用になります。いくつかの市町村で働いていますが、市町村によって受給者証の取得しやすさ・しにくさはありそうな印象です。
療育園へ入園するにあたって悩むのは当たり前です
療育園と聞くと、どのようなイメージを持ちますか?
「暗い印象の場所。」
「幼稚園にも保育園にも行けなかったから、行く場所。」
「うちの子はそういうところへ行く子じゃない。」
様々な意見を聞きます。
療育園へのイメージは、どちらかというとネガティブな印象を持っている保護者が多いのが現実です。しかし、実際に見学など行ってみると、少人数なので専門職が丁寧に対応でき、友達とスムーズに関わりができたり、偏食の子どもに対してのご飯のメニューや工夫が豊富であったり、子どもにわかりやすい方法で生活のルールなどを伝えたり…など保育の質はとても高いです。実際に見学へ行くと、保護者から「印象が変わった」という意見が出ます。見学に行って、体験して、自分の子どもに合っているなと思った保護者は療育園を選ぶ方もいます。
ただ、そこまでの選択をするには、自分の子どもの発達がゆっくりだということを受容できることが必要になります。先天性の疾患などが理由で療育園の通園が必要かもしれないと生まれたときにはっきりとしている状況でない限り、まだ幼い時期に「療育園へ」と決めている保護者はほぼおらず、迷う保護者が多いです。
療育園は入園の申請時期が決まっていて、判断するには時間が短い場合があります。
周りから療育園を勧められた、でも迷う場合は一度、入園する/入園しなかった場合のメリットとデメリットを考えてみたり、自分の子が保育園や幼稚園へ行った場合、きちんと個別対応などがあり、我が子が困る状況に陥らないか、実際に見学などをして情報収集してみてください。
大事なのは子どもが集団生活で困らないか・保護者の気持ちがついてきているか、だと私は思っています。
今は昔よりも様々な選択肢があります
昔と今とでは、療育の環境や質が変わってきています。様々な選択肢が広がり、その分我が子の進路を決めるのは、とても迷います。
「療育園へ1年行って、保育園へ転園する」
「保育園行って、上手くいかなそうなら療育園へ転園する」
「保育園行きながら児童発達支援を使う」
色々な考え方があり、それぞれの家庭によって就園先も変わってきます。どのような選択肢であっても、保護者が悩み、子どものことや自分自身のことを考えて選ぶのは、とても大事で、私たち保健師は保護者をそっと見守ります。なので悩んだ時は相談できるところへ相談し、様々な情報を得て選択していただけたら、子どもも保護者も良い方向に進むと思うので、気軽に相談してください。
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