子育て中の事故予防

最近自分が働いている市町村で、健診の問診票が変更になったのをきっかけに、事故予防の話をすることが多くなりました。事故予防の話をしながらも、子どもの事故予防は難しいな…と感じています。

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大前提として、子どもの事故は誰でも起こる

最近はSNS等があるので、ニュースには出ないけれど個人的な小さな話題も目につくことがあると思います。自分の中では「ありえないでしょ~」と思っている事でも、世の中では起きています。そして「自分はちゃんと見ているから大丈夫」と思っていても、事故は起きます。子どもの事故は親がどれだけ親が見張っていても、親の目を盗んで事故は起きます。24時間子どもを見るなんてことは無理ですし、子どもは予測不可能な動きをすることもあります。

保育園看護師の経験後に子育てを始めた私ですが、勤務していた保育園で事故予防を経験し、自分の子育てで事故予防を意識していたつもりでした。でも現実はできていなくて、生後2か月くらいの時に、ふとわが子を大人用ベッドの端に寝かせてその場を離れ、違う部屋に行こうとドア付近に差し掛かった時に、ふと自分がベッドの端っこにわが子を置いたままにしていることに気付きました。恐らく寝返りする子どもだったら、ベッドから落ちていたと思います。その時の自分の行動は衝撃的で、慌てて子どものそばに行き、抱っこをしてわが子を抱きしめました。本当に自分のした行動が怖かったです。それ以来、自分を信じられなくなって、赤ちゃんはベッドには置かない、置くのはベビーベッドと床のみ、そして大人のベッドはローベッドに買い換えました。

その経験をして、「人間なので気を付けていてもミスはする」「ミスしても環境面でカバーできるように、環境面を整えていく」ということをするようにしました。産後は育児に必死で保護者は疲れていますし、子どもは昨日できなかったことができるようになるという目まぐるしい発達をするので、人間の意識だけでは子どもの事故は防げません。「気を付けておきます」だけでは難しいです。人間なのでミスをします。だからこそ、事故をしないように環境を整えるということは、子育てをする上で必要です。イメージとしては、落ちていくボールが事故だとして、そのボールを何重にもネットを張ってどこかでその事故を防げるようにキャッチする感じです。自分がミスしても、環境面で拾ってもらいます。

子どもの事故ってどんな事故があるのか?

子どもの事故は普通に生活をしていると、ニュースにならない限り、あまり知ることはないと思いますが、案外多いです。

電池や小さなものを飲み込んだ

よくあるのが、小さなものを飲み込んでしまった、あるいは飲み込んでしまったかもしれないという事故です。誤飲の事故はいつから気を付けないといけないかというと、もう生後4か月くらいには、手に取ったものは口へ運びます。500円玉の大きさより小さいものは、お口の中にすっぽり入ってしまうので、誤飲をしてしまいます。なので、例え寝返りをしない赤ちゃんであっても足で床やベッドを蹴って動いて移動したりするので、赤ちゃんの周りには小さなもの、ビニール袋などは置かないようにしましょう。

1歳になったら大丈夫なのかというと、そうではありません。1歳はまだお口に物を入れます。2歳になるとものを口に入れることは減っては来ますが、完全に口の中に入れないという訳ではありません。3歳になるとほぼほぼお口の中には入れませんが、ゼロかというと、そうではありません。意外と子どもはボーっとしながら口に小さなものを入れてしまっていたり、上向きに寝転がりながら「ビー玉きれい~」と見ていて、手からビー玉が滑って落ち、口の中に入ることもあります。「〇歳だから絶対に大丈夫」ということはないですし、発達のゆっくりさがあるとまたそれは別の話になるので、その子どもの状況に合わせて環境を整えていく必要があります。

なので乳幼児に関しては、誤飲にはとても注意しなければなりません。その中で電池に関しては要注意で、ご存じの方はたくさんいらっしゃると思いますが、電池を誤飲してしまうと、胃や食道に穴が空く恐れがあります。しかも短時間で穴が空いてしまうので、時間との戦いになります。電池を使用しているものは必ず蓋が空かないように工夫されているものを購入したり、蓋が空いてしまうのを防げないものは手の届かないところに置きましょう。ちなみに上にきょうだいがいらっしゃるときは、上のきょうだいの方にも注意をお願いします。

誤飲したかも!という時は…

誤飲したかもしれないときは、躊躇せずに病院を受診しましょう。ボタン電池の時はもちろん、他の物でも、飲み込んでいるかもしれないときは病院へ行き、診察を受けて大丈夫かどうかを確認してもらうのが良いです。みなさん誤飲している可能性の時は、病院受診をしてくださっている方が多い印象です。大丈夫と思っていても、実際何か飲み込んでしまっている時があるので、是非受診してください。

子どもの火傷

子どもの火傷は多いです。火傷の原因となるものとして、炊飯器・湯沸し器・キッチンのガスコンロ関連・ホットプレートなどですが、意外と多いのは、作り立ての料理や電子レンジで温められた料理やカップラーメンなどのお湯です。特にカップラーメンなどの容器は保温性が優れているので、皮膚が大人より薄い子どもは火傷しやすいです。食卓に置かれた食器やコップを、背が低い子どもが中身が見えないままズリズリと引っ張り、食器やコップが転んでしまって火傷をしてしまったり、電子レンジでチンしたものを自分で取って火傷してしまったり、案外よくある生活動作の中で火傷は起こります。

「キッチンやテーブルには背が届かないので大丈夫です」とおっしゃられる保護者の方がいらっしゃいますが、「背の高さが机より低い=机の上の物には手が届かないから大丈夫」ではありません。『背の高さ+手を伸ばす範囲内=手の届く範囲内』です。また、子どもは賢いので、手が届くように何か踏み台になるようなものを持ってきます。なので怪しいギリギリの範囲内には熱いものを置いてはいけません。

ちなみに私は自分が宿泊した産後ケア施設で子どもを火傷させてしまった経験があります。ローテーブルでお食事が配膳された直後、あやしていた生後6か月のわが子の足にスープの食器が当たってしまい、わが子の足全面にスープがかかってしまいました。服を着ていたので、服の上から水道水でそのまま冷やし、運よく火傷の後も残りませんでした。自宅以外の環境は、事故が起こるリスクが上がります。なので自宅以外の祖父母宅や友人宅は注意しましょう。保護者の方の話を聞いていても、自宅以外での事故は案外あるので、目を離さないように注意してください。

火傷をした時は?

火傷をした時は水で冷やす必要があるのですが、服の上から火傷をした時は服は脱がさずに服の上からシャワーなどで冷やします。

階段から落ちる

マンションなら大丈夫かもしれませんが、一戸建ての家だと2階や3階があるお家が多いかと思います。その場合、どうしても階段の上下ともに柵が必要になります。上だけ、とか、下だけ、とかそういう柵の付け方をしている方がたまにいらっしゃいますが、それでは転落は防げません。私も階段に柵を付けていたので、柵を付けることによる扉の開け閉めのめんどくささや柵の値段が高いのもわかるのですが、子どもが怪我をするよりはいいです。上下ともにつけてください。

「柵の扉を開けられるようになったから外しました」と2歳くらいの子を持つ保護者の方がいらっしゃいますが、柵を開けられないように更に鍵を付けるなどの工夫をしていただきたいです。「数日前にもう意味がないと思って柵を外したら階段から転落しました…」という子どもはよくいらっしゃいます。また、柵を外していて、保護者が子ども数人と一緒に上の階に上がり、保護者は他のきょうだいと上の階の部屋に居て、下の子が階段を勝手に降りようとしているのに気付かず、下の子が階段を下りている最中に転落するといった事故もあります。

毎回めんどうだと思う「柵」ですが、その柵に助けられて起きていない事故は何回もあると思います。めんどくさいと思いますが、子どもが転落して怪我をするよりは絶対に良いです。なので柵はしてください。

「柵」関連でいうと、キッチンにも柵をして欲しい

柵関連で言うと、キッチンにも柵をして欲しいです。もちろんキッチンの配置によってできるキッチンとできないキッチンがあるのはわかります。ただ、キッチンは

  • 炊飯器、湯沸かし器、コンロなどの熱いもの
  • 包丁などの鋭利なもの
  • 割れたら危険な食器類

があり、子どもからするとキッチンは遊び道具の宝がたくさんある場所になります。柵をしているとキッチンに子どもが入れなくて子どもが泣き、それがしんどくてキッチンで一緒に料理していますという方もいらっしゃいますが、温めているものが子どもの頭上にかかったり、鋭利なもので怪我をしたり、そういったリスクが伴います。

柵ができる方は、100均などで事前にプラスチックのキッチンツールやお皿、軽いお鍋など子どもが遊んでも良いものを事前に用意し、柵の外にそれを出して遊ばせたり、キッチンの中に子どもを入れる時は大人二人で対応する、など工夫をしてみてください。

柵がない方は子どもが触れるところには鋭利なものや熱いものなどは置かないのを徹底する、キッチンに柵が設置できないのであれば、逆に子どもの動きを制御するサークルを使用するなど、工夫をお願いします。

毎日毎回のことで大変なのはわかりますが、保護者の気が緩んだ一瞬を狙ってくるので、できるだけ工夫をしていただけたらと思います。

ちなみに我が家も下の子は特にキッチンに立つとよく泣いて、柵の所で号泣していました。どうしても泣かれてしんどい時は、抱っこではなくおんぶで調理していました。本当はおんぶであっても足に熱い調理器具が当たったり、油が飛んだりすると危ないので、しない方がいいです。ただ、そうは言っていられないこともあるので足は靴下とズボンで肌を覆い、万が一油が飛んで来たり、熱いものが当たったとしても軽く済むようにしていました。

子どもの置き去り

昔は小学生でなくても、未就学である程度の年齢だと、車にカギをかけ窓を少し開けて子どもを残して10分ほど用事をしに行ったり、自宅にカギをかけて1時間ほど外出していることもあったかと思います。今では未就学児の置き去りはダメです。たとえ上のきょうだいが居たとしてもダメです。

ダメな理由としては、

  • 子どもが車や自宅から一人で出て行って事故に遭ったり、誘拐される恐れがある
  • 車や自宅に子どもが一人でいるところに大人が侵入して、犯罪が起こる可能性がある
  • 未就学児が一人で過ごすことで怪我が起こる可能性がある

からです。家の中だから大丈夫だろうと思っていても、保護者が在宅していてもケガや事故は起こるものなので、子どもだけだとそのリスクは上がります。「ベビーモニターをつけているので大丈夫です」とおっしゃる方がいますが、ベビーモニターを外出中にずっと監視しているのは難しいですし、事故が起きてからでは何の意味もありません。

子どもは不在の保護者を追いかけて外に出て、警察に保護されている事例もあります。ちょっとした数分間のごみ捨て、10分くらいの上の子のお迎えでも、残された未就学の子どもが外出して外をふらついていて保護されることも、自分が知らないだけで世の中では実際起きています。一瞬保護者が玄関の外へ出た時に、子どもが玄関の扉を施錠してしまい保護者が家の中に入れなくなり、保護者が消防を呼んで中に入れるように助けてもらうこともあります。

また、小学生でさえも自宅に一人でいて、不審者に侵入されて犯罪が起きています。災害が起こって自宅に入れない場合、子どもは一人でやり過ごさなければなりません。大人の想定の範囲外の状況が起こる可能性があるので、子どもを置き去りにするのはダメです。「上の子がいるから大丈夫」と、上の子がいている時に置き去りをする保護者がいますが、何か事故が起こった時、その上の子はその事故を一生背負って生きていかなければなりません。それは保護者にとっても辛いことかと思います。下の子が怪我をしたのは上の子の責任ではありません。子どもが安全に過ごせるようにするのは、保護者の責任になります。

「子どもが居なければその数分間の間に用事を片づけられる」という気持ちは物凄くわかるのですが、その気持ちが出てきたとき、もしものことが起こった時、その自分の行動を後悔しないか考えてください。

ちなみに最近だとこのような事故が起こりました。

これを見た時に、「そうなるのは当たり前でしょ?」と思いましたか?そう思った人は少ないのではないかと思います。どういう状況かわかりませんが、5歳であっても、見通しの持てない不安な時などは、大人の想定を超えて、こういう行動を起こしてしまうのだと思います。

子どもが一人でいる時の行動は、大人の想定を超えていきます。なので一人にしないで一緒にいていただけたら嬉しいです。

ベランダから転落しないために

最近は一戸建てでもベランダがない家が増えてきていますが、ベランダに物は置いてますか?「窓の鍵を閉めているので大丈夫です」という保護者の方がいらっしゃいますが、通常の鍵1つくらいだと、安易に子どもは窓の施錠を突破します。窓の施錠を突破された際に、ベランダに何もものが置いてなければ転落のリスクは無いのですが、物を置いていると、それをベランダの外の壁に持って行き、よじ登り、頭が重い乳幼児は転落します。なのでベランダにはなるべく物は置かないでください。どうしてもベランダに物を置かないといけない状況なのであれば、物が外の壁に運べない様に工夫する、そもそも出れないように窓に2重のロック(窓の上にロックをかける)をしていただけたらと思います。

ベランダがない一戸建ては安全かと言えば、そうではありません。平屋でない限り、2階の窓から転落したりします。私は小学生の頃、ベランダのない2階の窓から屋根に出ようと、脚を窓の外に出したことがあります。なぜしようかと思ったの言うと、ジブリの魔女の宅急便に出てくるキキが屋根の上で寝転がってそよ風に吹かれて気持ちよさそうにしているのを実現させてみたかったからです。途中で怖くなってやめ、今ではそんなこともあったなぁ~と思いますが、本当に実現させていたら2階から落ちて死ぬか、後遺症が残っていたかもしれないなと思うと、怖いです。子どもはそんな突拍子もないことを考えるので、本当に注意が必要です。

首から上のケガは必ず病院を受診してほしい

子どもが怪我した時、病院を受診するか迷うこともあると思います。首から上のケガは、病院を受診するよう、保護者の方には伝えています。頭と首は重要な部位なので、問題が無いか確認した方がいいからです。もし、その部位以外で病院を受診した方がいいのか、救急車を呼んだ方がいいのか、色々迷うこともあるかもしれません。そんな時はこちらを参考に、電話で相談してみてください。

日中で、かかりつけの病院が開いているのであれば、そちらに電話して指示を仰ぐのも良いかと思います。

怪我をしたら、必ず就園先などには報告してほしい

怪我をして、何もそのまま言わずに園へ預ける保護者がいらっしゃいます。恐らく言わない理由としては、「色々聞かれてめんどくさいから」「虐待と思われるかもしれないから」という理由が大きいのではないかと思います。

就園先からすると、 何も言われずに預かってしまうと、

  • 顔などパット見てわかる場所なら気付くのですが、服の下に隠れている傷だと、園でのケガなのか、家庭内でのケガなのかわからずに、対応に困る
  • その怪我を園でどのように配慮して過ごしていいのか不明で困る

というところがあります。何も配慮が要らないのなら、ないで大丈夫なので、報告だけしてください。朝の預けるタイミングがバタバタしてて難しい、祖父母の見送りなので上手く伝えられない、などの理由があるのでしたら、連絡帳に書くか、電話をください。「〇〇(場所)で△△して(どうやって)□□(怪我の部位)を怪我しました。病院に行って、大丈夫と言われました。でも園では◎◎(気を付けて欲しいポイントや心配な事)を見ていて欲しいです」という感じで報告してください。

虐待と疑われるかも…と不安かもしれませんが

怪我の部位や状況によっては報告すると「虐待に思われるかもしれない」「子どもが警察とか、家庭児童相談所に連れていかれるかもしれない」と思う保護者の方がいらっしゃいます。明らかな虐待でない限り、そんなことは起きません。ただ、子どものケガなどは、場合によって就園先は児童相談所に報告する義務があります。報告しなければならないので、その場合は保護者の方に許可を得て相談所に報告をします。普通にケガをしただけでなぜ報告する義務があるのかというと、たくさんのケガの報告の中の1件に虐待が含まれている可能性があるためです。「なぜうちが虐待と疑われないといけないのか」と思うかもしれませんが、虐待している人は「虐待しています」とは言いません。家庭内の様子は、外部からは見えません。その隠された1件を見つけるためには、どうしても必要なので、同じように対応する必要があります。

事故予防を防ぐために作られた施設

事故予防を防ぐために実際に危ない場所や工夫を施している展示をしている施設がいくつかあります。私が事故予防の講座を市民向けにした際に、参考にした施設です。

子どもの事故予防は元々知らなくて当たり前です。子どもの事故予防は子どもを出産するまで、誰も教えてくれません。なので知らなくて当然だと思います。ただ、保護者が事故予防を知らないから子どもが怪我してしまうのはしょうがないというのは違うと思います。保護者の方が事故予防を知る機会が今まであまりにも少ないなというのは、感じていて、事故予防を伝えるのは私たち保健師の仕事だと思います。今はどこの市町村でも、健診や市民向けの講座などで啓発しているはずなので、是非リーフレットや市民向け講座で事故予防を確認していただけたらと思います。

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この記事を書いた人

病棟看護師と保育園看護師を数年ずつ経験し、保健師として母子保健分野に足を踏み入れ8年目になりました。
プライベートでは、年子の娘と息子がいる2児の母です☆
保護者のみなさんが、ちょっとでも安心して育児ができるように、情報発信できたら嬉しいです!

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