妊婦さんや妊娠を希望されている方の新型コロナウイルスのワクチン接種について

保健師として働いていると、妊婦さんに妊娠届で会ったり電話でお話ししたりしていますが、ワクチン接種に不安を持っている妊婦さん多くもいらっしゃいます。そこで、ここでは少しワクチンについてのお話をさせていただきます。

あんな
あんな

妊娠しているといろいろと不安が多いですよね… 遠慮なく保健師に聞いてくださいね!

目次

妊婦さんへのコロナワクチン接種はダメなんじゃなかったっけ?

そもそも「妊娠している人にはコロナのワクチンはダメなんじゃなかったっけ?」という疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

確かに当初は妊婦さんへの安全性が確立されていないという理由で、積極的な接種の対象から外されていました。一般的に新しい薬を開発するときは万が一のことがあっては大変なので、妊娠中の方は避けて治験が行われます。これはワクチンに関しても同様であり、決して妊娠中の方に何か悪い影響があることが分かっているからではなく、ただ単なる新薬開発の際のお作法のようなものです。そのため、妊娠中の方は治験のデータがなかったので当初は推奨されなかっただけのことです。

しかし、いくら妊娠中の方を避けて治験を行ったとしても、予期せず妊娠してしまう方は必ず出てきます。実際にファイザーのワクチンでもそのような方が多数いて、そのデータを見る限りワクチンによって流産や奇形などのリスクがないことが示されました。そのため、まず妊娠12週以降は接種が推奨されるようになりました。その後さらに追跡調査により安全性が確立されて、現在ではすべての週数でワクチンの接種が推奨されるようになっています。

このような経緯があるので、もし周りに「妊娠中はワクチンを打てない」と言っている人がいたら、ただ単にその人の情報が更新されていないだけなので、心配する必要はありません。

あんな
あんな

妊婦さんもコロナのワクチンを打ってくださいね!もちろん、妊娠を希望されている方も打って大丈夫です!

妊婦さんへのコロナワクチン接種のメリット・デメリット

いくら妊婦さんへのコロナワクチンの安全性が確立されているといっても、メリットがなければ打ちませんよね?では、そのメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

コロナワクチンのメリット

コロナワクチンのメリットとしては以下のようなものがあります。

  • コロナ感染予防
  • 万が一コロナに感染した場合の重症化予防
  • 胎児への抗体移行

まず最初にお伝えしたいのが、妊婦さんはコロナの重症化リスクが高いということです。よく「基礎疾患のない若い人はコロナが重症化しにくい」と言われて、確かに高齢者や基礎疾患のない人と比べると相対的にその通りです(もちろん、決して重症化しないというわけではありません)。しかし、ここでいう「基礎疾患のない若い人」というのは妊娠していない人のことをさしていることに注意が必要です。妊娠している人はコロナの重症化リスクが高いということはすでに知られています。

そして、コロナが重症化して一番に影響を受けるのは誰でしょうか?それはおなかの中の赤ちゃんです。おなかの赤ちゃんはお母さんの血液を通して酸素を受け取って「呼吸」しますが、お母さんがコロナに感染して酸素を取り込めなくなると、おなかの中の赤ちゃんにも酸素がいきわたらなくなり苦しい思いをさせることになってしまいます。コロナに感染しているお母さんにとってはそれほど苦しくない症状でも、体に取り込む酸素の量は下がってしまいます。もしかしたらそれが原因で発達に支障が出るかもしれません。

また、コロナは早産のリスクにもなります。しかも悪いことに、コロナで早産となってしまい緊急の分娩が必要になっても、コロナに感染していたらそもそも分娩できる病院がないという状況になりかねないのです。

コロナのワクチンによって感染予防できればそれに越したことはないですし、万が一感染してしまってもワクチンによってそのリスクを最小限に下げることができるのです。そして、ワクチンでできる抗体は胎盤を通して赤ちゃんにもいきわたるので、ワクチンによって赤ちゃんにも抗体をプレゼントすることができるのです!生まれてしばらくの間はお母さんからの抗体を通してわが子を守ることができると考えたら素晴らしいと思いませんか?

コロナワクチンのデメリット

基本的に妊婦さん特有のデメリットというものはありません。もちろん一般的な副反応は妊娠していようがしていまいが同じなので、発熱や倦怠感などといった副反応はあるかも知れません。ワクチンについては以下の記事もご覧ください。

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もしかしたら、それで数日はつらい思いをするかもしれません。でも、それでわが子にも感染症から身を守る大きな武器である抗体をプレゼントできると考えたらどうでしょうか?

最後に

新薬に対して不安を感じるのは、当たり前のことです。ただ、その不安を煽る不正確な情報、いわゆるデマなどが多く存在します。その不正確な情報で、助けれたであろう命が奪われるのは、あってはならないことです。正確な情報を得て、安心して自分や家族、そしてお腹の中の子どもを守れるように、今回記事を書かせていただきました。

あんな
あんな

安心してワクチン接種してくださいね!自分自身とお腹の子を守れるのは妊婦さん、あなたしかいません!

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