妊娠・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援

2023年2月1日から、妊娠・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援というものが始まりました。それってなに・・・?という人もいらっしゃるのではないでしょうか。窓口で対応している感じとしては、知らない人も多そうな感じです。もうこの2月を迎えるまでに給付金を支給している市町村もあるそうです。
(※この記事は私が今いる市町村で仕事をしていて感じていることを書いていますので、全市町村が当てはまるわけではありません)

目次

伴走型相談支援と経済的支援とは?

伴走型相談支援と経済的支援とは、簡単に言うと「妊娠してから出産後まで切れ目ない支援をしていきましょう。そして経済的な支援もします。」というものです。妊娠届出の面談・妊娠8か月での面談・出産後の面談の3つをすることで、妊娠中5万円・出産後5万円(子ども一人につき)給付します、という事業です。

市町村によって違う妊娠期~出産後までの支援体制

市町村によって、妊娠~出産後の支援の介入の仕方は違います。妊娠がわかってから4か月児健診まで、市町村の支援の流れとして、

  1. 妊娠届→ほとんどの市町村が助産師や保健師などの専門職と面談をして、母子手帳や受診券を発行する
  2. 妊娠の中期・後期あたりで保健センターから連絡をする→市町村によってはしていなかったところもある
  3. 出生届→助産師や保健師や看護師などの専門職と出産がどうだったか、産後のサポートがあるかなどの面談をする市町村もあるが、専門職との面談はなく役所に行って出生届だけ提出の市町村もある
  4. こんにちは赤ちゃん訪問(新生児訪問)→たいていの市町村が保育士・看護師・保健師・助産師などの専門職が家へ訪問する
  5. 4か月児健診→保健センターもしくは個人病院で受診する、個人病院だと保健師は何かあったときのみ対応する

という流れになっています。②の妊娠の途中で連絡をする、③の出生時の面談がある、などの支援の有無は市町村によって様々です。大きい市町村になってくると、人手がいるので、そのあたりでの支援は難しいのが現状です。ただ、子育て支援として、きちんと継続的に妊娠期~出産後まで支援していかなければならないということで、今回この事業が始まりました。元々伴走型相談支援のように細かく支援をしていた市町村は給付金申請がプラスになるだけですが、妊娠届と新生児訪問だけ対応していた市町村だと、追加の支援が必要になってくるので、大きな変化がある事業になっているのではないかと思います。私がいる市町村では、追加の支援が必要になったので、準備が大変でした。

給付金が貰えるの?

この伴走型相談支援というのは、給付金もついてきます。保健センターなどで面談を受けた保護者に対して、妊娠時5万円+出産後5万円(子ども一人につき)、申請をするともらえます。面談が必須の条件を国が提示しているので、面談済みを確認の上、給付をしています。一般的な妊娠だと基本的にもらえますが、一応取得条件があるので、各市町村で確認してください。例えば妊娠を検査薬で判明したが、母子手帳を取る前に流産してしまったという場合は条件を満たさないので、貰えなかったりします。

面談ってめんどくさいとお思いかもしれませんが…

私たちがしている面談は、思ったより時間がかかったり、余計なお世話と感じて嫌な思いをさせてしまうかもしれません。ただ、みんながみんな、自分の困りごとを出せるわけでもなく、出産後の見通しを持ててない場合だと出産後に困りごとにぶち当たってしまう…ということにもなったりします。専門職が面談をすることで、そのハプニングなどに当たらないようサポート状況を確認したりして、提供できる支援を提案しています。なので全員に同じような面談を実施しています。

この事業についてみんなどう思っているのか


今回、私の市町村でも妊娠後期の面談が追加されました。面談を電話での対応したり、アンケートに答えてもらったりと、恐らく様々な市町村が工夫を凝らして支援体制を整えたと思います。

妊婦さんや産婦さんからしたらどう思っているのかな~とSNSを見ているとあまり良くは思われていなさそうな事業だなと…思いました。「妊娠中や産後は大変なのに、面談のために呼び出されるのか」「妊娠8か月は、まだ産休にも入っていないのに」「幼い子を連れて保健センターに行かされるなんて」「お金だけくれたらいい」などの意見があって、そうですよね…と感じます。
ただ、先ほどもお伝えしたように、みんながみんな私たちからの支援が要らないわけでもないんです。そしてどこの市町村も保健師の人数がギリギリもしくは不足の状態です。その中での支援の追加になってくるので、全妊産婦さんに何度も面談というのは現実的ではないと思います。理想は会ってでの面談ですが、電話やアンケートなどでの対応になってくるかと思います。もちろん必要があれば会って面談になると思います。いくらお金をもらえるからといっても、妊娠中や出産後は大変なので、妊産婦さんにできるだけ負担のないように、元々あった事業に組み合わせたりして事業を進めています。

この事業で辛いと感じるのは、流産された方に対する対応です。この部分は少し辛いことを書くので、辛い方はスキップしてください。
妊娠12週以降は死産届で市町村は把握できるのですが、妊娠届を出して母子手帳をもらった方が、12週までに流産すると、基本的に市町村はキャッチできません。その情報を得れない中、妊娠後期あたりのはずだった頃に保健センターから本人へご連絡をして流産が判明するというケースが出てくるかと思います。流産というショックな経験をその時期にまた思い出させることになるので、こちらとしても避けたいものです。ただ、それを回避する方法は今の現状では難しいです…。

子育て支援が充実してほしい

子育ては、どの人でもどの環境でも大変です。最近は県によって所得制限なしの給付金などが実施されたりしています。もちろんお金も大事ですが、子育てに対する理解がもっと広まってほしいと思っています。産育休時にスキルアップを、というのがニュースになっていたりしますが、それを聞いて、それなら私たちが行っている今の支援って何ですか?要らないくらいみんな余裕を持っているっていう認識ですか?と悲しくなりました。母子保健の仕事をしていると、本当に保護者は大変な中、育児を頑張っています。健診でもパパの姿が見られるようになり、その間ママが憩いの時間を持てたり、パパが育児の大変さをわかってくれたら、ママにとって強力な見方ができて嬉しいなと思っています。

育児は経験しないとわからない辛さもあるので、もっと子育ての理解が広がって、子どもや保護者が過ごしやすい環境になってくれたらと思いつつ、子育てを支えるために配慮してくださっている方々も過ごしやすい制度ができたらいいのになと思っています。

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